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ウレタン防水
ウレタン防水って言葉はなんとなく聞いたことがあるけど、どんな工事なのか費用がいくらかかるのかわからない。
防水工事を行なってから数年経ち、そろそろメンテナンスを行なうべきなのか、特にいま問題がないからそのままでいいのか判断がつかない。
そんな悩みを抱えていませんか。
ウレタン防水とは、安価で耐久性が高く、どんな形状の場所でも使用できるなどのメリットが多いことから、多く採用されている防水工事です。
液体状のウレタン樹脂を複数回塗ることで防水層を形成し、雨水の浸入を防ぎます。
主流とも言えるウレタン防水は取り扱う業者も多いのですが、完成後正しく施工されたのか判断がしにくく、専門知識のない悪徳業者が潜んでいる可能性も高いという面を持ちます。
この記事では、ウレタン防水の特徴や価格、工程などの基礎知識から悪徳業者にだまされないためのポイントまでウレタン防水に関する全知識をまとめています。
ウレタン防水がどんな工事なのか、メンテナンスを行なうべきなのかお悩みの方は是非参考にしてみてください。
1-1. 防水工事に迷ったらウレタン防水!
ウレタン防水とは、マンションや陸屋根などの平らな屋上に行なう防水工事のひとつです。
液体状のウレタン樹脂を複数回塗ることでつなぎ目のない防水層を形成し、雨水の浸入を防ぎます。
施工も簡単で、防水工事の中では安価な上に、別の素材の防水材があってもそのまま上から重ね塗りもできるなどメリットが多く、最も主流の改修用防水工事です。
5、6年ごとにトップコートを再塗装することで、15年程度、防水効果を保持できます。液体状のため、屋上、ベランダ、バルコニー等どんな形状の場所にも採用できます。
短所としては、人の手で塗るため、完全に均一な膜厚にはならない(専用の機器を用いれば最小限に抑えることが可能です)、乾燥に時間がかかる(その間歩けないため、マンションの廊下などには不向き)、デザイン性がないということが挙げられますが、性能的に目立った短所はありません。迷ったらウレタン防水と言っても過言ではないでしょう。
1-2. 密着工法と通気緩衡工法
ウレタン防水には、様々な工法がありますが、今回は採用されることの多い2つの工法をピックアップしてご紹介いたします。
◎ベランダ防水なら「密着工法」がおすすめ
ウレタン防水材を下地に直接塗った後、メッシュのような補強布を貼り付け、その上からさらにウレタン防水材を所定の厚さになるまで塗り重ねていき、上塗材で仕上げる工法です。
工期が比較的早く、工事費用を安く抑えることができます。短期間で防水工事を行ないたいといった方におすすめとも言えます。
下地の影響を受けやすく、きちんと下地が処理されていなかった場合、防水層のひび割れ・膨れなどが発生しやすくなりますので注意が必要です。
特に下地を十分乾燥させる必要があり、ベランダなどの狭い箇所の防水工事に向いています。水分を含んだ状態のままウレタン防水で蓋をしてしまうと、太陽熱などで蒸気になった水分が逃げ場を失い「膨れ」と呼ばれる劣化現象を引き起こします。
すでに雨漏りしている建物や厚い保護コンクリートに覆われた屋上などは中まで完全に乾燥させることが難しいため、密着工法より通気緩衝工法がいいでしょう。
◎雨漏りなど水分を含んだ下地に最適な「通気緩衝工法」
裏側に溝があいている通気緩衡シートを貼り付け、その上からウレタン防水材を塗布します。初期費用は密着工法と比べて高くなりますが、雨漏りなど水分を含んだ下地に最も効果的な工法です。
長年にわたって下地に浸入した水分がそのまま下地に染みこむと雨漏りが、日にあたって湿気となって出ようとすれば膨れという劣化症状が発生します。
通気緩衝工法では、そのような劣化の原因となる下地に含まれた水分をシートの溝を通り道にして、脱気装置で外部に逃がすことができます。
水分を多く含んでいる可能性が高い築年数が古い建物や、ルーフバルコニー、陸屋根、マンションの屋上など面積が広い箇所におすすめといえます。
1-3. ウレタン防水の補修のサイン
防水工事を行なってから10年以上経過している場合は防水工事を、5年ほどの場合は、防水層を覆っているトップコートの塗り替えを依頼するといいでしょう。
メンテナンスは早めの方が費用も安くなります。雨漏りしていなくても、ベランダやバルコニーなど目視可能な箇所は定期的に下記のような劣化症状がないかチェックしましょう。
直接目視できない場合は、近くの高い建物などから望遠鏡を使って確認してみたり、防水工事を行なってから5~10年の間に業者に診断を依頼したりするといいでしょう。
望遠鏡を使って劣化症状が見られた場合は、実際近くで見るとよりひどい状態であることが多いため、出来る限り早めに業者に確認を依頼しましょう。
補修のサインは以下の通りです。1つでも当てはまれば、ウレタン防水の寿命が薄れている可能性が高いです。
【チェックポイント】
《緊急性はないけれど要注意》
・表面が色あせている
・ひび割れが発生している
・ルーフドレン(水を外部に流すための排水溝)の周りにゴミがたまっている
・雨上がりなど、一部分に水がたまっている
・コケや藻、雑草が生えている
※防水層まで根が生えているかもしれません。むやみに抜くのはやめましょう。
《早急に業者に依頼しましょう》
・室内に雨漏りが発生している
・防水層が膨れている
・ルーフドレン(水を外部に流すための排水溝)が詰まっている
1-4. ウレタン防水は業者に任せた方がよい
ベランダなどの狭い場所ではホームセンターで材料を揃え、DIYすることも可能ですが、基本的には業者に依頼することをおすすめします。
なぜなら、市販品と業者の使用するものとでは性能が異なることときちんと施工できなかった場合や既存の工法と相性の悪い防水材を使用した場合、数年も経たないうちに劣化し始める可能性が非常に高いからです。
ウレタン防水には専門知識を要します。失敗した後に業者に依頼すると通常の工事費よりも高くかかる可能性が高いため、上記の劣化症状が見られたら、早めに防水工事を依頼しましょう。
では、ウレタン防水を業者に依頼するとどのくらいの費用がかかり、どんな作業を行なうのでしょうか。さっそくご紹介いたします。
2-1. ウレタン防水の価格
ウレタン防水(密着工法)にかかる費用は、工事費や人件費も含めて約5,500~8,500円/㎡ほどが目安です。
通気緩衝工法になると、密着工法より少し高くなり、だいたい6,500円/㎡~ほどかかります。使用する塗料のグレードや、屋上なのかベランダなのか防水工事を行なう広さによっても価格が変わってきます。
雨漏りや大きなひび割れといった不具合があった、大きなゴミが置いてあったなど、場合によっては、修繕費、撤去費等を別途とられる可能性がありますので、事前によく確認しておきましょう。
2-2. 工程
①高圧洗浄・補修
平滑でキレイになるよう、下地を調整していきます。汚れは高圧洗浄で取り除き、ひび割れなど雨漏りの原因となる箇所には補修を行ない、目地も撤去していきます。
②プライマー(下塗り材)塗布
下塗りを行なうことで、ウレタン防水が下地に吸収されるのを防ぎ、接着性を高めます。
③通気緩衝シート貼り付け※通気緩衝工法の場合のみ
専用のボンドを使って貼り付けていきます。その後、脱気筒を設置し湿気の逃げ道を作ります。
④ウレタン防水中塗り
コテやローラーを使用し、ウレタン防水を塗布していきます。
⑤ウレタン防水上塗り
先に塗ったウレタン防水が硬化したら、再度塗布していきます。
2~3回ほど、任意の厚みが出るまで繰り返します。
⑥トップコート塗布
最後はトップコート(防水保護層)を塗布していきます。トップコートは塗り重ねてきたウレタン防水(防水層)を紫外線などから保護する役割を持っており、防水材ではありません。
防水工事を行なった屋根で受けた雨水は全てルーフドレンと呼ばれる排水溝に流れていきます。排水溝が詰まっていると雨水が流れず、水がたまっている箇所から防水層の劣化が進んでいきます。
陸屋根に出入りができる方は、定期的に飛んできた落ち葉やビニールゴミ、土ぼこりなどを撤去するようにしましょう。もともとゴミなどが溜まりにくいようにストレーナーというカバーがついていますが、このストレーナーを外してドレン内部も清掃することも大切です。
トップコートは、紫外線から防水層を守る役割をしています。
トップコートが剥がれてくると紫外線や熱の影響によって防水層が急速に劣化します。ウレタン防水であれば黄色く変色し、硬化してしまい、ひび割れの原因になります。
基本的には5年を目安に塗り替えるといいでしょう。
トップコートのなかには、フッ素など10年おきの塗替えでも大丈夫な高耐久性のものや遮熱効果を持ったものもあります。
通常のトップコートより費用がかかりますが、塗替えの回数や遮熱効果による光熱費の削減で長い目で見てお得な場合があります。
お家を何年持たせたいか、夏場の2階が非常に暑いなどといった問題がないか洗い出し、業者に相談するといいでしょう。